世界のお水事情を探る企画。今回はオーストラリア。
今回はオーストラリアに14年住み今はシドニーで専業主婦の傍らライティング業もこなす藤原さん(仮名)40代女性にインタビューのご協力頂きました。
藤原さんがオーストラリアに移住するきっかけとなったのは、元々オーストラリアにアートの留学をされていてなんとその帰りの飛行機で知り合った方とご結婚。旦那様がオーストラリア人ということで現在はオーストラリアのシドニーに移住されています。
オーストラリアのお水事情に入る前に14年間オーストラリアのシドニーに住まれているという件について色々きいてみました。
—オーストラリアに14年ってかなり長い期間ですが、ずっとシドニーですか?(シドニー以外に住まれてた場所はありますか?)
そうですね。ずっとです。シドニー以外では、アデレードとタスマニア以外の主要都市は何度か旅行に入っています。
ゴールドコーストには半年くらい住んでいたことはありますが、結婚前です。
—相当シドニーお詳しそうですね!
シドニーは住んでみてどんな街でしょうか?初めの印象と住んでみて印象が変わったなどありますか?
シドニーは、大都市ではありますが、自然が多くて住みやすい都市だと思います。
大都市といっても、オーストラリアの中でということで、日本の東京や大阪に比べると人口も少ないですし、そんなにごみごみとはしていませんが、日本の都市で見ていくと、名古屋に近いと皆さんよく言われます。
シティ中心部は割と道が整備されて、メインの大通り3本を中心に街が栄えている感じです。
イギリスの入植にて栄えた国ですので、サンドストーンを使った建築物など、街並みはどことなくヨーロッパの雰囲気があります。緑が多く、割とキレイです。
ちなみにオーストラリアはもともとはアイルランド系の移民が多く、イギリスの入植により建国した、まだ200年ほどの歴史しかない若い国です。
日本の20倍もの面積のある国ですが、エアーズロックのある中心部は乾燥した砂漠地帯で、先住民であるアボリジニが生活の拠点としており、一般的に海岸沿いの一部のみが都市開発されています。
オーストラリアの観光名所といえばエアーズロックやグレートバリアリーフなどが有名ですが、私の住んでいるシドニーの観光名所といえば、世界3大美港といわれるシドニーハーバーにある、オペラハウスやハーバーブリッジがあります。中心部から徒歩圏内です。
あとは、シドニー中心部から約2時間ほどで行けるブルーマウンテン国立公園にある、スリーシスターズと呼ばれる大きな岩は世界遺産にも指定されています。
14年前に比べると、ずいぶんおしゃれになってきた感じですね。私が来た当初はまだまだ田舎でした。
最近になって…といってもそうですね…7-8年でしょうか?はっきりとは覚えていませんが、国際社会のボーダレス化が言われるようになって、シドニーも、一般的な都市のようにファッションなどのお店なんかもおしゃれになってきましたよ。
14年前はシドニーも田舎だったのですね。観光スポットやシドニーの街の変化などお聞きできたところで「お水」の質問に入っていきたいと思います。
—オーストラリアでは飲み水は一般的にどのように確保していますか?
オーストラリアでは水道水を問題なく飲み水として利用できます。
水源などに利用されているダムと呼ばれる湖は、シドニーからは3時間ほど離れたところにあります。
—藤原さんは水道水そのまま飲まれていますか?
はい、飲んでますよ。
ただ、うちでは、一応ブリタというフィルターを通した水を飲み水やお茶に使っています。
使う必要はないとは思うのですが、何となく、子どもが生まれてから、気持ち的にという感じです。とはいっても、普通に水道水は飲みますし、料理にもそのまま使います。
必ずフィルターを通した水しか飲まないということではありません。
—日本の水と比べて味はおいしいですか?違和感とかはありますか?
違和感を感じたことはないですね。
今ではもちろんもう慣れてしまっているということもあるんでしょうが、思い返してみても、ニオイが気になるとか、味が気になるといったことはなかったと思います。
ただ、一度だけ、随分久しぶりに日本に帰国したときなんですが、顔を洗った時の水の「感触」が丸いと感じたことがありました。
硬度についてですが、調べてみたところ、私の住んでいるところで硬度35-43mg/L、PH7.6-7.9で軟水です。日本と同じように地域によって差は出てくるようですが、シドニー中心部でも硬度53-66mg/Lとなっているので、軟水のレベルです。
それから、カフェやレストランでもテーブルウォーターとして水道水が普通に出てきます。
街中や公園などではDrinking Waterというサインのある給水タップを見かけることもよくあります。給水タップは、日本の公園でもよく見かける、水が噴水のように上に向かって出てくるタイプの蛇口ありますよね。ああいう感じです。
—オーストラリアは砂漠が原因で慢性的な水不足と聞いたことがあるのですが感覚的にどうですか?
水不足の件についてですが、かなり深刻です。オーストラリアは高低差が少ない大陸で、乾燥した気候が特徴的で、慢性的な水不足が問題になっています。
オーストラリアの農業や酪農などにもかなりの影響が出て大変なことになります。
水の使用制限が出る時もあり、洗車や庭木への水やりが禁止されます。
—ホントに深刻なんですね。シドニーでも制限あるんですね。
そうですねー。ここ最近も雨が少なくて、そろそろ制限が出るんじゃないかといわれています。
—断水で完全に水道がストップする事などはあるのですか?
私がこちらに移住してからは、幸いなことに断水まで陥ったことはありません。ただ、庭木の水やり、個人で自宅での洗車は禁止されたことはあります。それから、テレビなどで、しきりにシャワーは5分にしましょうとか、言われます。
ゴールドコーストに住んでいた時には、水不足で、水道をどれだけいっぱいにひねっても水の勢いが弱くなっていたということがあったと記憶しています。
水不足の国というのもあるでしょうか、洗車を何か月もしていないほこりだらけの車なんてザラです。日本みたいにピカピカの車のほうが少ないくらいです(笑)
お国柄、別にいいやっていういい加減な人も多いんだとは思いますが(笑)、普段から、水の無駄使いには意識が高いのだと思います。
あと、一番ショックだったのは、ゴールドコーストに住んでいた時、食器を洗うときに、洗剤で洗ったまま、すすぎをしないで拭いて片付けていたこと!びっくりでしたね。今から20年近く前のことなので、もうそんな人たち居ないのかもしれませんが。
そういえば、水道水の件で一つ、お伝えし忘れていました。一般的にオーストラリアの水には虫歯予防として、フッ素が添加されています。
虫歯予防として、フッ素が添加されているのはなかなか面白いですね。水不足なのに断水まではあまりおこらないってすごいですね!そうかテレビとかでそういう呼びかけがあったりと水の無駄遣いに対しての意識が高い。これはすごいことですね。
—水道料金も高いと聞いたことがあるんですが高いですか?
水道料金・・・どうでしょう、高いんでしょうか。
実は私日本の水道料金のことのほうがよくわからないのですが、(実家暮らしで、そのまま結婚してこちらへ来たので)
水道は政府ボディの運営で、料金は四半期ごとに請求される形態です。上下水道の基本料金が3か月で$171.96(約13,600円、水道料金は1㎥ごとに$2.04(約161円)となっています。
例えば水道水「31m³」3ヶ月で使った場合でオーストラリアと東京都の水道代を比較してみた
オーストラリア | 日本(東京都) |
---|---|
約18,658円 | 約 9,772円 |
日本の水道料金は使う量やメーター口径によっても異なってくるので目安ですが比較するとこのくらいの差になりました。
—オーストラリアではウォーターサーバーは一般的に利用されていたりしますでしょうか?
ウォーターサーバーは、一般家庭にはあまり普及していないです。
オフィスや病院のようなところではよく見かけます。
一番有名なブランドとしてはNeverfailという商品です。
—一般では普及していないのですね。ちなみに日本のウォーターサーバーはサーバーをレンタルして12Lボトルを宅配してもらう形式が一般的ですが、オーストラリアではどのようなサービス形態が一般的かわかったりしますか?
月に1回日にちを決めて宅配してもらう、というシステムのようです。やっぱりオーストラリアは広いので、必要な時にすぐ宅配してもらえる日本とは違い、地域によってデリバリーコードを決めて、宅配の日を決めて回ってるようです。
調べしたところ、ボトルは返却する再利用可能なボトルですと11Lで$11.40(約903円)、15Lで$13.80(約1,093円)となっています。返却不要のペットボトル15Lですと$14(約1,110円)となっていました。
ウォーターサーバーに関してはレンタルが主流で1年間$154(約12,200円)、ステンレス製だと$198(約15,690円)となっています。
家庭用の小型のもので、温冷機能のものがないタイプだと、$35(約2,770円)で買取できるものもありました。
水はこれまたオーストラリア国内で汲み上げたナチュラルスプリングウォーターのようです。
—現地でよく飲まれているペットボトルの水、ミネラルウォーターのメーカーと相場を教えてください
オーストラリアで一番よく飲まれているミネラルウォーターは、Mount franklinというブランドで、オーストラリアの天然水を汲み上げたものです。
こちらはカンタス航空の機内でも出されています。
エビアンやペリエなど、ほかの国のミネラルウォーターの販売もありますが、一般的にオーストラリア国民は愛国心が強く、メイドインオーストラリアを非常に大切にするので、自分の意思でその海外ブランドを購入しに行くなら別として、その辺のスタンドやカフェ、フードコートなどでミネラルウォーターといって注文するとたいていMount franklinが出てきます。
もしくは、オーストラリア産の他ブランドですね。
スーパーだと500mlが1本$2.95(約234円)ぐらいで売っていますが、フードコートやコンビニだと$3.20(約253円)と、かなり高額です。
愛国心あるんですねー。なるほど確かに意外に高額ですね。
—藤原さんはまったくミネラルウォーターは買わないですか?
愛国心は強いですよ。尊敬に値します。日本も見習うべきです(笑)
家で飲む用にお水を購入したことはないです。外出先ではよく購入しますね。こちらでは日本のように緑茶や麦茶といったものは、(当たり前ですが)売っていなくて、あとは、炭酸飲料やジュースなどのソフトドリンク、乳製品飲料(ミルクコーヒーみたいな)などしかありません。
アイスティーも果糖で、フレーバー付きだったりしますし、水しか選択肢がないということもありまして。
最近はできるだけマイボトルを持参するように努力は始めましたが(笑)
ちなみに、水よりコーラのほうが安いです。
—私も日本の製品買うようにします(笑)コーラの方が安い!選択肢がないから外飲み用に買うと。飲み物の選択肢が少ないと確かに水筒のほうがよさそうですね。今日はオーストラリアのお水について色々お聞き出来てよかったです!これにてインタビューを終了させていただければと思います。今日は貴重なお時間ありがとうございました!
私も最近日本製品を買うように努めてます(笑)
そうなんです。
コーヒー好きというのもありますね。
お役に立てましてうれしいです。
こちらこそ、どうもありがとうございました!
オーストラリアの水事情で一番聞きたかったのが水不足の件でした。旅行とかに行っても水が不足してると体感するのは難しいからです。現地に住まれている藤原さんから聞けた、水不足ではあるけれどオーストラリアの方の水に対する意識の高さが印象的でした。テレビなどで注意喚起するのは日本で言うと地震とか台風とかの意識の持ち方に似ているなあと感じました。
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