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タイの水事情をバンコク在住の日本人女性にきいた

世界のお水事情を探る企画、今回は隣国アジアのタイ・バンコクです。

今回はタイ在住歴7年の水島さん(仮名)40代女性にお話をきいてきました。

マイペンライ気質が心地よく気がつけばもうタイに7年

タイのお水事情の前に水島さんがどんな方なのかタイに移住した経緯などを聞いてみました。

—タイに住み始め7年ということですが、住み始めた経緯を教えてください

最初はタイマッサージの施術の勉強をしにバンコクに来ました。1年間の予定で、タイの会社に現地採用で就職し、働きながらマッサージ学校に通っていました。

1年が経ち学校を卒業しましたが、住んでしまうとあまりの過ごしやすさに帰国することが惜しくなり、そのままずるずると7年も住み続けております。

暮らしやすい理由としては、インフラが整っていることと、物価が安いこと、そして、タイの人々の「マイペンライ(問題ないさ~)気質」が私には心地よいということが上げられます。

「マイペンライ気質」に対しては、人によっては「ちゃんとしてほしい」「許せない」というような感情を持つ方も多くいらっしゃるので、この国で生活を送る際に合う合わないが顕著に現れるところだと思います。

—タイってマッサージのレベルが高いんですか?問題ないさー気質いいですね~

タイはマッサージのレベルは高いです。

日本でもタイマッサージのお店がかなりあり、そのようなマッサージ店の研修としてタイのマッサージ学校に施術の勉強をしに来られる方が多くいます。

—タイに研修にいくほどなのですね。そういえばタイ古式マッサージとかありますもんね。
卒業されてそのまま住まれているとのことですが、今はマッサージのお仕事をされているとかでしょうか?

いいえ、マッサージの仕事はしておりません。

タイでは、法律で外国人がタイ人の仕事を取ってしまうようなことができないようになっており、外国人の私がタイでマッサージ店に就職することはできないのです。

現地採用の場合、日本企業や外資系の職場にしか就職はできません。

今はライター業をしています。

—規制があってできなかったのですね。でもライター業もいいですね。

今はタイのバンコクにお住まいとのことでした。バンコクは住んでみてどんな街でしょうか?初めの印象と住んでみて印象が変わったなどありますか?

私が住んでいるのはバンコクのディンデーンという地区です。

日本人が多く住む都心にも地下鉄ですぐに行ける距離ですが、ローカル感が残っている地域です。

大通り沿いには大型スーパーや大型商業施設が数多くありますが、小道に入ると地元密着型の屋台が立ち並ぶ、まだまだ昔ながらの風景が残っている地域です。

この地域の観光スポットとしては、「タイで一番美しいナイトマーケット」と言われている【タラート・ロットファイ・ラチャダー】があります。

私が最初にバンコクへ来たのが2012年で、その頃ももう既に商業施設が沢山ありましたが、それからも次々に大きな商業施設や高層ビルが建てられており、どんどん巨大都市化しています。

個人的には、バンコクの路地裏のとても庶民的な、地に足が着いた力強い風景は変わらないでいてほしいと感じています。

タラート・ロットファイ・ラチャダーを高台から見た写真

タラート・ロットファイ・ラチャダー確かに美しい。タイの独特の雰囲気がある街ですね。

タラート・ロットファイ・ラチャダー マーケット内の店

食べ物や服などがたくさん売られている。

タイではウォーターサーバーのような水の自動販売機が激安で一般的

タイの街並みなどお聞きできたところでお水の質問に入らせていただきます。
タイでは飲み水はどのように確保していますか?

飲み水は、一般的にペットボトルの飲料水をスーパーやコンビニで購入します。

または、道端やマンションなどの敷地内に設置されているウォーターサーバー(1~2リットルが1バーツ程で購入できる飲料水の自動販売機)があり、空のペットボトルを持参し水を入れます。

—ちなみに水島さんはいつもどうやって水を確保してます?

私は主に自動販売機のウォーターサーバーを利用しています。6リットルの空のペットボトルを持参し、2バーツ(約7円)分程購入して持って帰ります。

道端の水が買えるサーバー型自動販売機
水を実際に買っている様子

—ものすごくお安いですね!(笑)
味ってどうですか?日本の水と比べてどうですか?違和感なく飲めますか?

そうなんです。とても安いですよね。

更に、私の住居の自動販売機は設定がどうなっているのか、2バーツで6リットルのペットボトル満タンになるので、不思議がりながら助かっています。

味は、特に美味しい!と思うことはありませんが、不味い!と思うこともありません。全く違和感はありません。

タイの水道水は飲めない!

—一応お聞きしておきたいのですが、水道水は飲まれないですか?

水道水は飲めません。

水道局が供給している水の質自体は問題ないようなのですが、大概は水道管の老朽化などでバクテリアや錆が混入しているそうです。

私は水道水はシャワーなどの生活用水としてのみ使用しています。ただ、水道水を煮沸して飲料水にしたり、料理に使ったりしている方も多くいらっしゃいます。

—タイの水道水の硬度ってわかりますか?

バンコクの水道水の硬度は約80~115mg/l(調べて)とのことです。使っていて硬水のイメージがありましたが、意外にも中程度の軟水でした。

—水道料金を色んな国に住む方に聞いているのですがタイは水道水も安いですか?

水道料金も安いです。

水道料金は1ユニット(1000リットル)=8~20バーツ(約28円~70円)程度です。

建物の種類によって請求額や請求方法が異なります。タイでは住居建物の種類が分かれています。通常、【マンション】と呼ばれている建物は、建物全体をそのマンションが管理しています。水道料金や電気料金は各マンションで定められており、家賃と合わせてマンションへ納めます。

【コンドミニアム】と呼ばれている建物は、集合住宅の各部屋のオーナーがそれぞれ異なっており、まず家賃自体が同じ建物内でも同額ではありません。

水道や電気などは公共料金として水道局や電気会社から請求書が個人宛てに毎月届けられ、個人で水道局やコンビニなどで支払います。通常、コンドミニアムの方が公共料金は安くつきます。

私は【コンドミニアム】に住んでおり、私個人の1ヶ月の水道料金は、だいたい100~150バーツ(約353円~530円)くらいで収まっています。

安いですねー。

タイで人気のミネラルウォーターには硬度の記載がない!?

—現地のスーパーなどでよく飲まれているミネラルウォーターのメーカーと大体のお値段を教えてください

飲料水の主なメーカーは

・SINGHA(シンハー)
・Chang(チャーン)
・CRYSTAL(クリスタル)
・Nestle(ネスレ)
・セブンイレブン
・トップバリュー

などがあります。

ペットボトルの飲料水は、厳密に申し上げますとミネラルが入っているものと、ただの飲料水があり、ミネラルが入っていない飲料水は500mlで5~8バーツ(18円~28円)くらい。1.5リットルで10~15バーツ(35円~53円)くらい。

ミネラルが入っているミネラルウォーターは、500mlで10~15バーツ(35円~53円)くらい。1.5リットルで20バーツ(70円)くらいです。

—ミネラルウォーターの硬度ってわかりますか?

タイのペットボトルや、サーバー用ボトルには、硬度の記載がありません。過去にメーカに問い合わせたところ「わからない」という回答でした。

・SINGHA(シンハー):わからない
・Chang(チャーン):わからない
・CRYSTAL(クリスタル):わからない
・Nestle(ネスレ):PURELIFE 84~85mg, MINERE(ミネラル水) 110mg

—硬度の記載がないのですね。マイペンライ(問題ないさ~)ですかね(笑)

タイのスーパーで売られているミネラルウォーター

—日本のメーカーもありますね。先ほどの自販水サーバーと比べると高いと言えば高いですが、それでもお安いですね。

タイのウォーターサーバー事情

—タイでは一般家庭でにウォーターサーバーは使われていますか?有名メーカー等あれば教えてください

タイで有名なウォーターサーバーは、SPRINKLE(スプリンクル)というメーカーです。ボトルは宅配されます。サーバーは購入するようです。

水のボトルに電池式の供給ポンプ(灯油を汲みあげる電動ポンプのようなもの)をセットして使用することもできます。

わざわざサーバーを購入せず、供給ポンプを使用しているご家庭が多いようです。会社や学校など公共施設ではサーバーが設置されている所が多いです。

<スプリンクルの料金>
ウォーターサーバー本体ーの価格
  • 5150~9800バーツ(18,201円~3,4635円)[4タイプ]
スプリンクルの宅配ボトルの価格
  • [※A]18.9リットル×12: 804バーツ(約2,840円)
  • 18.9リットル×24: 1560バーツ(約5,513円)

サーバー本体の料金はそこそこしますね。水代は[※A]の場合で1リットル換算3.5円くらいなので安い。

別の会社のタイで利用されている水サーバー

—やはりコスパ的には先ほどのマンションの敷地内などにあるサーバーから水を汲むというのになってくるのですね。

「タイでは水だけでなく物価が安いからほぼ外食になってしまいますね」と水島さん

—でも本当に物価が安くて住みやすそうですね。食べ物とかも安いですか?

はい、食べ物も安いです。

タイ料理の屋台が沢山あり、そういう場所では一食30~50バーツ(約106円~176円)くらいで食べられます。

ちょっとしたレストランでも、日本に比べれば断然安いですね。私は自炊もするので、スーパーや市場で食材を購入したりもしますが、肉や魚、野菜なども低価格です。

でも、輸入品は高額です。特にチーズが高いです。

一人暮らしですと、自炊した方が安いのか、屋台で食べた方が安いのか、というところですので、ほぼ外食になってしまいます。

タイの屋台で売られているお料理
屋台で売られているお料理パート2

—輸入品は高くつくのですね~。
そういえば、水上マーケットってたくさんあると思うんですがオススメの水上マーケットってありますか?

アンパワー水上マーケットなどが有名だと思うのですが、実際こちらに住んでいると水上マーケットに行くことはほとんどありません。

もちろん昔は地元の市場として機能していたのだと思いますが、現在は観光地として栄えているのだと思います。風情を楽しめます。

—色々と沢山お話聞けてよかったです。水も日本人が飲みなれた軟水に近い硬度だし、食べ物なども物価が安く確かにタイに移住される気持ちもわかったような気がしました。色々とタイの魅力をご紹介頂きありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

タイはぼったくりやスリなどの犯罪も多いのは事実ですが、基本的には親日家が多く、最初に申し上げました「マイペンライ精神」の中にも尊敬すべき力強さがある国です。

もし日本社会の中で疲労を感じている方がいらっしゃれば、タイの空気がきっと心を癒してくれるのではないかと思いますので、ぜひ皆様にお越しいただきたいです。

インタビューを終えて

タイは比較的私の中でも身近な国という印象でしたが、お水の自動販売機が印象的でした。全体的にどのような購入の仕方をしても水代が非常に安い。物価も安いし、住みやすい国なのかもと思いました。